恐怖について考える。
恐怖には2種類あるのではないか。ひとつはリアル
な恐怖。そしてもうひとつは想像上の恐怖。恐怖に
ついて考える時、私は7年前の東日本大震災を思い
出す。それはリアルな恐怖。そしてそれは逃れよう
のない恐怖だった。
いま、私は別の恐怖を感じている。それはこの国が
次第に得体の知れないものになっていくのではない
かという恐怖だ。いまこの国はなんだか変だ。この
違和感、このなんとも言えない気持ちの悪さはなん
だろう。テレビでは政治についての報道はだんだん
と減っている。以前いくらかはあった政府に対する
批判も見られなくなっている。そんな中、知らぬ間
にかなりやばい法律がどんどん成立していっている。
憲法改正もいつの間にか当たり前のことのように語
られている。あと10年もしたらこの国は、自由に
ものを言うこともできない、人権もない、権力に睨
まれたら消されてしまう、そんな国になっているか
もしれない。
それは実際にはまだ起きてはいないけれども、想像
することができる恐怖の社会だ。しかしそのような
恐怖を感じている人はあまり多くはないように思え
る。だが、まさかこんな事がということが起きるの
が歴史の必然。
想像力の果てに起こり得ることを予言するのも演劇
の力かもしれない。そんな予言に満ちた作品をハロ
ルド・ピンターは多く残していると思う。
長野和文
■スタッフ
演出/美術・・・・・長野 和文
照 明・・・・・・安達 直美
音 響・・・・・・高沼 薫
制作協力・・・・・・潮田 塁
宣伝美術(画)・・・濱口真央
記録写真・・・・・・鏡田 伸幸
記録映像・・・・・・井野口 功一
企画制作・・・・・・池の下
■キャスト
リベッカ 稲川 実加
デヴリン 平澤 瑤
■協力
著作権代理 株式会社シアターライツ
著作物使用許諾 公益法人 日本文藝家協会
高津装飾美術株式会社 中村エリト
ロングランプランニング株式会社
二都物語