さらば、映画よ ポスター

「さらば、映画よ」パンフレットより


■怒りの彼方へ


日本人はいったいどうしてしまったのだろう。

昨今の世の中の動きを見ると不安になる時が

ある。忘れっぽい国民性は昔からだが、あれ

ほどの大惨事もすでに語られることは少なく

なり、世界に放射能をまき散らしている国の

首相がみずから原発セールスに勤しみ、その

原発の現状も新たに施行される法律によって

隠されようとしている。


そんななかで日本人の多くは何事もなかった

かのように平穏な日常をおくっている。これ

がフランスだったら暴動がおきているとか、

中東だったら革命がおきているなどと他国と

くらべても意味がないことだが、本当にこれ

でいいのか日本人と問いかけたい日々である。


怒りを忘れた国民はどこに連れて行かれるの

だろう。また戦前の暗黒社会がよみがえると

いう人もいるが、今度のはさらに悪い。人間

が子々孫々まで呪われるかもしれない核物質

の脅威である。そんなことを考えていたとき

寺山修司の台詞を思い出した。


「おれは歴史なんかきらいだ。思い出が好きだ」


国家の意向によって理不尽に繰り返されるのが

歴史であるなら、ひとりひとりの人間の意志に

より書きかえ可能なものにできるのが思い出だ。

だが、いま我々を取り巻いている危機的状況を

打破するのは、個々の怒りの集積による歴史の

書きかえ作業ではないか。

いま怒らなければもう遅い。取り返しのつかない

歴史へのカウントダウンはすでに始まっている。


「歴史を変えていくのは革命的実践者たちの側で

はなく、むしろくやしさに唇をかんでいる行為者

たちの側にある」寺山修司『黄金時代』より


■スタッフ


演  出・・・・長野 和文

美  術・・・・朝倉 摂

照  明・・・・正村 さなみ(RISE)

音  響・・・・高沼 薫

舞台監督・・・・田中 新一(東京メザマシ団)

票  券・・・・稲川 実加

宣伝美術・画・・丸尾 末広

記録写真・・・・鏡田 伸幸

記録映像・・・・井野口 功一

企画製作・・・・池の下


■キャスト


中年の男1  中村 雄介(鬼面組)

中年の男2  深沢 幸弘(鬼面組)


◆協  力


高津映画装飾株式会社(中村 エリト)

株式会社ロングランプランニング


◆助  成


芸術文化振興基金助成事業

PROFILE