イエス、たぶんチラシ
イエス、たぶんチラシ

「イエス、たぶん」パンフレットより


■空しさの果てに


「なんという空しさ、すべては空しい。わたしは太陽

の下に起こることをすべて見極めたが、見よ、どれも

みな空しく、風を追うようなことであった」

(旧約聖書『コヘレトの言葉』1章2節と14節より)


デュラスはこの言葉が気に入っていて、最後の著作

でも次のように引用した。

「この二つの文章だけで世界が開かれる──

事物、風、子供たちの叫び声、その叫び声の中で消え

ていった太陽。世界は自己破滅にむかっている。

空の空なるかな。万事空にして、風を追うが如し」

(『これで、おしまい』マルグリット・デュラス)


この世でもっとも空しいもの、それは戦争だろう。

しかし、今日もまた戦争で子供たちが殺されている。

未来が消されていく。


この作品の舞台は核戦争後の世界だ。

生き残ったのは女二人と男一人。女たちには記憶が

なく、男は戦争の記憶でがんじがらめになっている。


戦争は男の頭のなかに閉じ込められて、力を失って

いる。彼女たちは、男を恐れ、話しかけ、もてあそび、

忘れる。


彼女たちには子供があったが、今ではいない。

彼女たちは、あらたに生まれてくる子供たちのため

に言葉を残そうとする。

それは新しい人類が生きのびるための言葉であり、

もう二度と同じ過ちを繰り返さないための言葉だ。


言葉は、ひとを変えることができるだろうか。


                長野和文



■スタッフ


演出/美術・・・・・長野 和文

照  明・・・・・・安達 直美

音  響・・・・・・髙沼 薫

舞台監督・・・・・・高橋 佑太朗

制作協力・・・・・・三熊 こうすけ

宣伝美術(画)・・・松本 潮里

記録写真・・・・・・鏡田 伸幸

記録映像・・・・・・井野口 功一

企画制作・・・・・・池の下


■キャスト


A・・・・・・・・・・・芹澤 あい

B・・・・・・・・・・・稲川 実加

男・・・・・・・・・・・深沢 幸弘


■協力


こもだまりこ(昭和精吾事務所)

ロングランプランニング株式会社



■助成


  助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

  【東京ライブ・ステージ応援助成】


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